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新世界より

【2009/11/10】

貴志祐介の『新世界より』を読みました。
新書サイズでかなり分厚いやつ。

内容はSFで、1000年後の日本が舞台。
近代文明は完全に崩壊し、生活レベルは現在よりもかなり退化しているが、
人間は『呪力』という、いわば魔法のような力を身につけて、
戦争も争いも無い世界で、快適な生活を送っている。

『呪力』とは頭でイメージするだけで、
身体を浮遊させたり、
重たいものを軽々と持ち上げたり、
体細胞の老化を修復させたりと、
こんな力があれば、ドラえもんなんか全然お呼びじゃねえ!
という大変便利なもの。
ただしその力は絶大で、人間に対して呪力を使った場合、
赤子の手をひねるように、いとも簡単に殺傷することができてしまう。

たった一人の呪力をもった人間が何かのタイミングでブチ切れて、
力を乱用してしまうだけで、社会が崩壊してしまう、
こんな社会はモロすぎるだろ!ということで、
1000年後の人間は呪力によって自分たちの遺伝子を操作して、
『同属(人間)に向けて呪力を使った者は、その場で即死する』というルールを設定。

また、政府が子供たちを徹底的に管理しており、
教育の過程で、この子にはブチ切れやすい性質があると判断した場合は、
暗殺用の獣を解き放ち、合法で、
危険な芽を早い段階で摘み取るようにしている。(要は殺している)

そのようにして、徹底的な呪力の管理を行って、
戦争一つない平和な社会が成り立っているのだが、
ごく稀に『同属(人間)に向けて呪力を使った者は、その場で即死する』という
重要な遺伝子を持たない、暴力的な子供が生まれ・・・

また、呪力を持った人間が、
単純な労働力を得る為だけに利用している、『バケネズミ』と呼ばれる
知能の高い獣たち(ただし呪力はない)が不穏な動きを見せ始め・・・・


こんな世界観の物語です。
私はSFやファンタジー小説はあまり好きではなく、
ほぼ読んだことが無かったのですが、
この『新世界より』は大変面白かった!

魔法というものが存在する世界で、
秩序を保たせる為に存在する、今の世の中では考えられないような異常なルール、
呪力を持った人間と、呪力を持たないが知能は人間と同等の獣との、上下関係、
現代の文明社会が滅びて、呪力がはびこる世界となった経緯など、
細部までかなり綿密に話が作られており、
違和感なく読み進めることができます。

評判も良いみたいだし、近い内に映画化しそう!
いや、絶対にするだろう!
日本版『指輪物語』的な扱いで!


秋の夜長にふさわしい本を探しているかた、
是非とも『新世界より』をどうぞ!
ただし、暴力的なシーンやグロテスクなシーンがちょこちょこ入ってますので、
苦手な方は要注意!
by patrick6006 | 2009-11-10 20:11


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by patrick6006

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